第279話権力から落ちた

「なぜだい? 君は結婚でウィリアムの叔母になったんだ。ひとつ頼みごとをすれば、きっと聞いてくれるさ」アレクサンダーは妻にそう言い含めた。

ヴィクトリアは怒りに歯を食いしばった。「でも、そもそも私を牢屋に放り込んだのはあの人よ! いまさら私の話なんて聞くと思うの?」

怒りが燃え上がるのを見て、アレクサンダーは慌てて言い直した。「聞くさ、絶対に聞く。時代は変わった――君はいま外にいるだろう? 君はまだ叔母なんだ。心配するなよ、だって家族じゃないか」

宥める言葉は、かえってヴィクトリアの怒りに油を注いだ。夫の不安げで媚びるような笑みを見ているうちに、胸の中の熱がすっと引いていき、あとには空っぽ...

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